やせと無月経

 女性の性機能は体重や体脂肪と深く関連しています。近年、思春期女性のやせ願望が強くなり、適正体重であるにもかかわらずやせたいと希望し、減食や節食をするため体重が減少し、その結果として無月経になります。

思春期女性の続発性無月経の誘因としては美容を目的とした節食による体重減少が最も多く、急激(1年以内)に元の体重の15%以上の体重減少し、今まで整順であった月経周期が無月経になった場合を体重減少性無月経といいます。

 女性の痩身への憧れ本能、マスコミによるあおりの結果ダイエットは深みにはまり、自己の体重認識に障害をきたし、やせてもさらにやせたがるデフレスパイラルに突入します。いずれは体重の増加を強く恐れ、自己の身体の認知に重大な障害を呈するようになり、神経性食欲不振症と診断されるようになります。この病気は美しくなりたいという軽い気持ちから始めたダイエットに起因することが多く、長期化し、治療に抵抗性を示すことが多く、過食を伴うことがあります。神経性食欲不振症にはやせを維持する制限型とむちゃ食いをして嘔吐や下剤を乱用する排出型の二つがあります。小児では制限型が多く、思春期以降は排出型が多くなります。

 神経性食欲不振症の患者には、やせ願望、体重が増えることに対する極端な嫌悪や恐怖があり、BMIが18.5未満のやせであっても太っている、あるいは普通と思う女性が多いことが問題です。BMIが正常な女性の半数以上は太っていると思っています。一般に体重が急激に5kg以上、あるいは10%以上減少すると無月経になると考えられています。

 わが国はGDPが高い先進国のなかでやせ過ぎ女性の比率が極めて高い国であるとされており、女性の痩身化傾向は若いほど、そして大都市ほど顕著です。思春期のやせが持続し、これら女性が妊娠すると低出生体重児を出産する危険性が高いとされています。妊娠の過度の体重抑制により胎児期の栄養状態が悪くなり、胎児のさまざまな臓器が発育不全になることがあります。これら機能不全が出生後も継続され、子どもが将来メタボリックシンドロームに罹患しやすくなるとも考えられています。

 

 若い男性、マスコミ、ファッション業界の影響は非常に大きいものがあります。英国では、医学会が拒食症の大半が女性であり、その15~20%が20年以内に死亡するとの事実認識より、政府やさまざまな業界に働きかけをし、やせた女性をモデルに登用しないとか、ファッション業界においても教育的指導をすることが推奨されています。若い女性の魅力は健康美であることを社会全体で推進しようとする試みがなされています。

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