「わが国の少子化を考える―産婦人科医の重要性―」シリーズ―Ⅱ

超少子高齢化社会の到来
 2015年の初婚平均年齢は、夫が31.1歳、妻は29.4歳で、女性が第一子を産んだ平均時の平均年齢は30.7歳で、いずれも過去最高を更新し、晩婚化・晩産化の傾向は強まっている一人の女性が生涯に産む子どもの数の推計値である合計特殊出生率は上昇せず、人口が減少しないための人口置換水準の2.07に回復するまでの道のりは途方もなく長い。また、男女ともに生涯未婚率も上昇し、少子化に拍車がかかっており、2007年以降総人口の減少ペースは加速しており、少子高齢化に全く歯止めはかかっていない。実際このペースで進むと2055年にはわが国の総人口が9000万人を切ることもさることながら、出生数が年間50万人を下回り、65歳以上の高齢化率は40%を超えると推計され、年金や社会保障の問題以前に国家存続の危機に立たされると思われる。
 世界を見渡しても、人口が減少している国は少数であり、アメリカ、イギリス、フランスやスウェーデンといった多くの欧米諸国では、今後も人口が増え続けると予測されている。わが国と同様に人口が減少すると考えられているのはドイツやイタリアだけである。今後わが国は他の先進諸国と比べても類を見ない急速な人口減少と高齢化といった重要課題に直面することになる。出生率を上げることはもちろん、女性の社会進出、若者の就労率など、様々な問題を解決しなければ、日本の労働力は著しく減少すると予想される。少子化と相俟ってわが国の高齢化率は、欧米諸国の2倍以上のスピードで上昇しており、少子化がこのまま進めば労働人口の減少は極めて深刻な問題となる。

(吉村 やすのり)

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