女性と骨

女性は思春期に骨量が増加し、その増加は13~14歳をピークとして20歳前後で止まるため、この時期の無月経はエストロゲン低下により骨量に大きな影響を与えます。とくに思春期での過激なダイエットによる無月経は大切な骨量を失うことになります。18歳以前の無月経は、20歳を過ぎて起こる場合に比べてより骨量が低くなり、たとえ無月経が短気間であっても長期にわたる骨量の減少をきたし、将来骨粗鬆症による危険性が高く、腰椎圧迫骨折や多発性骨折をきたしやすくなります。

 

 

骨粗鬆症は高齢化社会において頻度の高い習慣病であり、一担椎体骨折を来たすとドミノ現象的に椎体の多発骨折をおこしたり、大腿骨頸部骨折を来たします。その結果、高齢者の日常生活機能が障害されるばかりではなく、介護や寝たきり、さらには生命予後さえも脅かされることになります。

骨粗鬆症の診察において重要なことは、初発椎体骨折をいかに防止するかにかかっています。しかし、わが国においては人口の10%、約1,100万人の骨粗鬆症患者が推計されており、そのうち治療を受けているものは約20%、約200万人に過ぎないとされています。このことは、骨粗鬆症検診を受けていない人が多いこと、また検診を受けて要精検となっても、医療機関で適切に対応されていないことによるとも考えられています。したがって、検診の意義と重要性を認識させる啓発活動が必要なのはいうまでもありません。本症における専門医の育成もさることながら、本症の重要性を認識できるプライマリーケア医の育成が重要であると思われます。更年期以降の骨粗鬆症を予防するためには、何よりも思春期の無月経を避けることが大切です。

(吉村やすのり)

 

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