子宮移植に関わる問題点

子宮移植は、生まれつき子宮のない女性や、子宮頸がんや分娩の大出血により子宮摘出を受けた女性に対して考えられた。

現在までスウェーデンにおいては、子宮を摘出した9人の実母らの子宮が実際に移植されているが、まだ出産例の報告はない。子宮移植後月経の回復はみられるが、受精卵の胚移植で妊娠した症例は1例みられたとの報告はあるが、妊娠早期に流産に終わっている。

わが国では私ども慶應大学を中心にカニクイザルで研究が進められている。子宮移植にあたっては、ドナーをどのように選定するか、レシピエントの免疫拒絶反応への対応、社会のニーズ、手術手技の確立などまだ解決しなければならない問題が多い。しかしながら、医学的、社会的、倫理的な問題をさまざまな専門家と議論することは大切であり、子宮移植に対する研究会の設立は評価できる。

8月31日の朝日新聞より

(吉村 やすのり)

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