国立社会保障・人口問題研究所が2021年に実施した調査によれば、夫婦が欲しい理想の子どもの数は2.25人です。一方で、実際に想定する子どもの数は2.01人と差があり、理想の数に満たない予定の人が多いようです。その理由は、子育てや教育にお金がかかり過ぎるからという経済的理由が最多です。妻が35歳以上の夫婦では、高年齢で生むのは嫌だからといった身体的な理由を挙げる人も多くいます。
第1子にかかる食費や日用品など子育て費用の目安は、0歳から大学卒業までで月5万~7万円くらいです。教育費は、小学校から高校まで全て公立とした場合、子育て費用の他に月2万~5万円、私立の場合は月7万~16万円が目安です。大学は、国公立の学費は年間60万円、私立は年間130万円が目安です。
子育てにお金はかかりますが、国や自治体には様々な支援制度があります。妊娠中は健診費用の助成があり、出産時は1児につき42万円の出産育児一時金を受け取れます。世帯主が一定の所得までであれば、子どもが中学校を卒業するまで児童手当を受け取れますし、3歳以上の幼稚園・保育園は無償化されました。所得要件を満たす世帯の学生については、高校の授業料は国公私立問わず実質無償化されており、大学生も給付型奨学金の支給等修学支援を受けられます。
国や自治体が行っている子どもの医療費助成もあります。例えば東京23区の場合は0歳~中学生までの医療費が無償、さらに2023年度からは高校生も無料になる見通しです。このように、子育て支援は拡充されてはいますが、児童手当や高校無償化など、高所得者層は対象外となる制度もあり、注意が必要です。なお、大学無償化は低所得世帯のみ対象です。教育費は、大学資金のために18年間積み立てして準備しておく必要があります。
(2022年11月5日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)