産後うつ

 EPDS(エジンバラ産後うつ病自己質問)とは、産褥期のうつ病を見つけ出すために開発されたスクリーニングテストです。EPDSを用いる目的は、産後うつ病を早期に発見し、必要な援助を早期に提供することにあります。それによって女性の苦悩を軽減し、家族の健康問題を予防することになります。心が不安定になってもSOSを出せない妊産婦は多くみられます。EPDS9点以上になると産後うつの可能性が高くなります。初産婦では、EPDS9点以上の割合は、産後2週時点で最も多くなっています。
 妊娠や出産をきっかけにうつ病などになるリスクが高い人を見つけることは、自殺予防だけではなく、子どもの虐待や発達の遅れを防ぐことに役立ちます。じっくり話を聞くことで落ち着く妊産婦も多くみられます。保健師や小児科医と一緒に見守ることで大半は順調に子育てができるようになります。精神科医にすぐに紹介したほうがよいか、見極めが重要です。産後1カ月の時点でEPDSが9点以上の人に、保健師が訪問するなどの継続的な支援態勢がある市区町村は2013年度には全国で1割前後です。妊産婦と家族にメンタルヘルスケアを知ってもらうこと、産科スタッフ全員が基本的な知識と対応を身に付けることが大切です。専門性の高い人材も養成し、精神科や小児科、保健・福祉機関と切れ目なく連携することが求められます。

(吉村 やすのり)

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