がんの早期発見

 国立がん研究センターなどのグループが、わずか1滴の血液で13種類のがんを早期発見する新たな検査方法を開発しました。同センターなどに保存されていたがん患者とがんではない高齢者の計4万人の血液を使って、がん種ごとのマイクロRNAの分泌パターンを調べてきました。マイクロRNAとは、細胞で遺伝子の働きを調節する微小物質です。人間では2,588種類見つかっており、うち約500種類が脂質の袋に包まれて血液の中に存在します。がん細胞と正常な細胞でマイクロRNAの種類が異なります。
 日本人に多い乳房、大腸、膵臓、胆道、食道、肝臓、卵巣、肺、胃、膀胱、前立腺のがんと、脳腫瘍の3割を占める神経膠腫、希少がんの骨軟部腫瘍のパターンが判りました。がんの進行度は、早期の1期から最も進んだ4期まで、大きく4段階で示されます。乳がんは、5つのマイクロRNAを測れば、1期を含む患者を97%の正確さで判定できます。マイクロRNA検査は一度に13種類のがんを調べられ、1回の費用は2万円程度とかなり低コストで済みます。しかし、見落としが少ない反面、がんではなくてもがんと判定することがあります。

(2017年8月12日 読売新聞)
(吉村 やすのり)

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