がんウイルス療法

 がんウイルス療法とは、ウイルスを患者の体内に送り込み、がん細胞に感染させて破壊する新しい治療法です。ウイルスは、正常な細胞では増えずに、がん細胞だけを殺すように遺伝子を操作して使います。ウイルスはがん細胞の中で増え、細胞を破壊します。他のがん細胞にも感染が広がり、増殖と破壊を繰り返し、がんが小さくなったり、消えたりする効果が期待されています。このがんウイルス療法にがん治療薬などを組み合わせる治療法が開発されています。
 がんのウイルス療法は実用化が始まったばかりの新しい治療法であり、抗がん剤などよりも患者の負担が少ないとされ、がん免疫薬と並び、従来治療が難しかったがんへの応用が検討されています。このウイルスとがんに対する免疫の攻撃力を高めるがん免疫薬を併用した際の治療効果が検討されています。併用による効果向上が、治療期間の短縮や薬の使用量抑制などにつながる可能性があります。ウイルス療法はがんの種類や患者の状態に応じ、どんな治療法と組み合わせるかが今後の課題です。

(2017年9月25日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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