がん患者の治療と仕事の両立

 2012年に、がん患者の就労と治療の両立支援は、国の第2期がん対策推進基本計画に明記されました。がんと診断されると精神的なショックは大きく、治療に専念しなければと思い込み、仕事を辞めてしまうケースが多くみられました。しかし、前立腺がんや乳がんなどのがんの5年後の生存率は90%を超えてきており、働きながら治療する生活が可能となってきています。がん患者が職場や医療機関などと意思疎通を深めることにより、働きやすい環境づくりを目指すことが大切になります。
 一番大きな問題は、医療費の高さや収入減少などの経済面です。職場環境の理解も重要です。がんの種類や進行度、治療法などによって、症状や副作用による障害が患者によって異なります。患者本人が医療機関から正確な情報を聞き、職場に伝えないと、治療のためでも休みが取りづらくなってしまいます。医療機関や患者団体、行政が様々な支援を始めてきています。国立がん研究センターは、がんと就労白書を編纂しており、様々な企業に勤めるがん患者をインタビューし、どうやって両立しているのかを具体的に解説しています。東京都は、今年度からがん患者の雇用に前向きな中小企業に奨励金を出す制度も始めています。

(2017年8月31日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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