たばことストレス

 喫煙は大切なストレス解消法の一つであり、医師はたばこの害を騒ぎすぎだとする愛煙家が多くなっています。吸っても長生きの人がおり、喫煙は文化だと言う人さえいます。好きだから吸うことは許されるかもしれませんが、人に害を与えることは許されません。たばこを止められないのは心の依存によります。体に悪いことを知りながら、吸っていますという人もいます。そんな矛盾を知りながら、たばこと病気の関係を過小評価したり、ストレス解消になるといったたばこの効能を信じたりします。
 喫煙は、血管収縮、血圧上昇、低酸素状態などを引き起こし、体にとってはストレスだらけです。ストレスが解消されたように感じるのは、ニコチン切れによる禁断症状のストレスが、たばこを吸って補われているに過ぎません。好きで吸っているというのも、ニコチン依存を認めたくない悪い癖です。正しい知識を身に付け、自分の考え方の癖に気づき、謙虚に向き合うことが大切です。
 私は若い頃からヘビースモーカーでした。ある願い事をすることにより、幸い禁煙することができました。禁煙したことにより酒量が増え、肝機能が少し悪化してしまいましたが、禁煙は究極の健康法です。禁煙して分かる事、それは他人に対して本当に迷惑をかけていたということです。喫煙により自らの寿命を短縮することは本人の勝手ですが、人の健康を阻害する権利はありません。たばこへの依存を卒業することで見える世界もあります。喫煙によって奪われてきた人生があります。たばこのない人生の素晴らしさを味わってみることが大切です。

(2017年12月17日 読売新聞)
(吉村 やすのり)

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