においの遺伝子

 嗅覚は、空気中のにおい分子を、鼻腔上部の嗅上皮にある嗅覚受容体がキャッチし、それが嗅神経を通じて脳に信号を伝えます。受容体の数が多いほど、においの識別能力が高いとされています。新村芳人東京大学特任准教授の研究結果によると、アフリカゾウの嗅覚受容体の遺伝子は1,948個で、犬811個の2倍以上、人396個のほぼ5倍です。ゾウの鼻は長いだけではなく嗅覚も優れています。
 約1億年前の哺乳類の共通祖先は、約800個の嗅覚受容体遺伝子を持っていたとされています。アフリカゾウは嗅覚を進化させた一方、視覚に頼るようになった人間は遺伝子を減らした可能性があります。動物にとって、嗅覚は食べ物を探すなどの際に欠かせない感覚です。嗅覚を失うことは死を意味します。私たちの周りにあるにおい分子は、数十万種類あるとされています。人の嗅覚受容体遺伝子は396個ですが、一つの受容体は複数のにおいをキャッチすることができます。人は動物より受容体の数が少ないのですが、劣っているわけではありません。

(2018年2月8日 毎日新聞)
(吉村 やすのり)

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