わが国のワクチン接種

 ワクチンで予防できる病気は多く、特に乳幼児は積極的な接種が勧められています。しかし、日本の子どもの接種回数は多く、スケジュールは複雑です。海外で一般的である多くの種類を組み合わせた多種混合ワクチンの認可が遅れていることが背景にあります。国内ではジフテリア、百日ぜき、破傷風、ポリオの4種混合ワクチンを使っています。これと別にヒブとB型肝炎のワクチンを打ちます。この3ワクチンは定期接種の対象であり、生後24カ月までの接種回数は計11回にも及びます。しかし欧米では4種混合にヒブを混ぜた5種混合や、さらにB型肝炎を加えた6種混合もあります。5種混合を使う米国の接種回数は8回、6種混合を使うドイツとフランスはそれぞれ4回、3回です。
 多種混合ワクチンが認可されない理由に製造上の規制があります。日本独自のものもあり、海外のワクチンはそのままでは基準外になることが多くなっています。海外で実績があっても認められず、日本は閉ざされた市場となっています。厳しい基準の背景には、過去にみられたワクチンへの副反応への懸念があります。わが国においては、ワクチンに対して不信感が醸成されやすく、国が積極的に動きにくい状況にあります。

(2017年2月12日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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