わが国の最低賃金の上昇

最低賃金とは、国が決める賃金の下限のことをいいます。日本では最低賃金法で定められています。使用者はその水準以上の賃金を労働者に支払う必要があり、従わないと罰則があります。物価や経済情勢に応じて毎年見直されています。労働者の生活水準を保障するため、多くの国で導入されています。近年は労働者の格差是正の観点から、米国や英国、フランスなどで引き上げが積極的に議論されています。引き上げが加速した2007年度以降、影響率はほぼ一貫して上昇しています。3%台の引き上げを実現した2016年度には10%を超え、直近の2018年度には13.8%まで高まっています。



日本の最低賃金は、2007年度から上昇に弾みがついています。当初は生活保護との逆転現象の解消を狙い、その後は消費刺激に向けて年3%の改定を掲げています。経済協力開発機構(OECD)によると、日本の実質の最低賃金は、ここ10年で20%上がり、主要国では高めの伸びです。しかし、賃金(年収)の平均値は、上昇率が2%に満たず国際的に見劣りしています。経済全体の生産性が思うように高まらず、賃金全体の押し上げにつながっていません。

(2019年7月21日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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