わが国の病床数

わが国の人口千人あたりのベッド数は約13床です。米国や英国の3床弱、フランスやドイツの6~8床を大きく上回っています。また平均在院日数は約30日に及び、10日以下の欧米各国と比べて突出しています。医療機関の病床の機能は、病気や怪我にすぐ対応する高度急性期と急性期、リハビリを実施する回復期、長期療養に対応する慢性期など4つに分類されます。この機能別に必要な病床数を設定しています。入院の必要が低い患者を在宅医療へ移行し、医療機関やベッドを減らす取り組みがなされています。
地域の病床数の上限は、自治体が決定しています。わが国においては、病床数が過剰な県が多いのですが、逆に不足している県もあります。特に過剰感が強かったのが、重症患者向けの急性期病床です。高度急性期を含め今は全体の6割を占めています。2025年は45%前後に減らすことになっています。ベッドが過剰になると、病院は空きベッドを埋めようと、通院で済む患者を入院させようとします。医療は供給過剰が不要な需要をつくる傾向があり、現状では医療費増に拍車がかかっています。

(2018年2月23日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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