アルツハイマー新薬の実用化

エーザイが開発中のアルツハイマー病の新しいタイプの治療薬であるレカネマブが、日本でも近く実用化されると思われます。これまでの薬は一時的に症状が改善しますが、やがて薬を使う前と同じスピードで認知機能が低下していました。レカネマブは、認知機能の低下を長期間抑制することを狙った薬です。生活の質の向上への貢献が期待されます。
アルツハイマー型認知症が、どのように発症するかは完全には分かっていません。複数の仮説があり、先行して研究が進んできたのがアミロイドβ(Aβ)仮説です。たんぱく質であるAβが脳の神経細胞の外にたまり、それがきっかけとなり、タウという別のたんぱく質によって神経細胞が壊されていくという考え方です。レカネマブはアミロイドβにくっつくことにより、免疫細胞によって脳内から除去されやすくなります。
新たな治療薬の登場により、不治の病という認知症のイメージが変わる可能性があります。薬の対象となりうる人は、国内に数十万~100万人超と推計されます。高額な抗体医薬というタイプで、既存の治療薬よりも高い薬価が予測されます。一方、脳浮腫などの副作用の懸念があるなど、治療を受ける患者数は当初は、限定的になると思われます。

 

(2022年12月1日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)

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