アルツハイマー病の予防

アルツハイマー病は認知症全体の6割を占め、脳に異常なたんぱく質がたまって神経細胞が死ぬ病気です。異常なたんぱく質の蓄積は発症の20年以上前から始まり、ある程度の神経細胞が死ぬと、物忘れなど認知障害の症状が現れ始める軽度認知障害になります。さらに進行すると認知症を発症し、時間や場所、人の関係などが分からなくなってしまいます。死んだ神経細胞は、元に戻らず治療が難しくなるため、予防が重要とされています。
認知症の主な原因であるアルツハイマー病の発症を予防する薬の研究開発が進んでいます。大阪市立大学の研究チームにより、結核の飲み薬であるリファンピシンを、認知症に似た症状になるマウスに鼻から投与し、症状が起きないなどの効果が得られています。1カ月間の投与後に脳を詳しく調べると、認知症の原因物質とされるアミロイドβやタウなどのたんぱく質が固まるのを防いでいました。発症してしまった人の認知機能を回復するのは難しいのですが、発症を予防できる可能性が出てきました。また脳内にはアミロイドβを分解する酵素がありますが、高齢者や認知症患者では働きが悪くなります。理化学研究所のチームは、特殊な神経伝達物質が作用する受容体たんぱく質の一つが、酵素の働きを高めることを突き止めています。

(2018年9月9日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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