アルツハイマー病の早期診断

アルツハイマー病の兆候を微量の血液で発見する技術が実用段階に入っています。アルツハイマー病は、発症初期の治療が重要で薬の開発も進んでいますが、初期段階の患者を見つける検査体制は未整備です。現在のアルツハイマー病の診断方法は、問診やテスト、磁気共鳴画像装置(MRI)による脳の撮影が一般的で、症状がある程度進行しないと診断できない場合が多くなっています。一方、患者の脳内には、原因物質とされるたんぱく質アミロイドβが早くから蓄積しており、蓄積量を調べて発症の疑いを探る技術開発が進んでいます。
近年、原因物質を取り除くことで病気の進行を遅らせる薬の開発が進んでいます。投与には原因物質の蓄積量を調べる必要があります。これまでは高額なPETで脳内を撮影する、注射で脳脊髄液を抜き出すといった方法が中心でした。血液検査はより簡便なため、病気の兆候を調べる新手法として注目が高まっています。

シスメックスがエーザイと共同開発した試薬は、一般的な病院で使われている血液分析装置と組み合わせて使い、アミロイドβの蓄積量を20分以内で測定します。島津製作所は、6月に質量分析法を使い血液を調べる装置を発売しています。
発症初期の患者を確定診断できる専門医不足に加え、現状可能なPET検査などは特に地方では装置が少なく受診までに時間がかかります。待ち時間が長くなると投与機会を逸することになりかねません。患者の早期発見は、今後の治療薬開発でも重要となります。医療効率の向上にも簡便な検査技術の普及が必要となります。

(2021年12月6日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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