アルツハイマー病の進行

 代表的な認知症であるアルツハイマー病は高齢者だけの病気ではなく、65歳未満でも発症し、若年性アルツハイマー病と呼びます。アルツハイマー病は、異常なたんぱく質のアミロイドβ(Aβ)などが、発症の1020年前から徐々に蓄積するとみられています。Aβやタウタンパク質など、たんぱく質が脳に蓄積すると神経細胞が死んでしまい、脳がだんだん萎縮してしまいます。記憶を担っている海馬という部分から萎縮が始まり、徐々に脳全体に広がり、その結果、認知機能が低下し、認知症となります。
 Aβに着目したアルツハイマー病の新薬開発は盛んに行われています。米イーライリリーは、Aβを標的にした新薬候補のソラネズマブについて、軽症患者に絞った臨床研究で効果を示せませんでした。多くの神経細胞が死滅してから原因物質に働きかけても手遅れだとされています。東京大学は、昨年からAβが確認されたが症状は出ていない超早期の人を対象に、ソラネズマブの効果を調べる国際共同研究に参加しています。脳の損傷が少ない段階なら有効性が示せる可能性はあるかもしれません。

(2017年11月9日 読売新聞)
(吉村 やすのり)

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