イスラエルの生殖補助医療

イスラエルの女性は平均で3人の子どもを産んでいます。イスラエルでは、1995年の国民医療保険法制定以来、①女性が45歳までで、②現在のパートナーとの間に2人の子どもを得るまでの間、体外受精の費用が国の保険で全額賄われています。人口880万人に対して体外受精は年間4万件超実施されています。100万人あたりの件数は世界一です。年間に生まれる子どもの5%近くを、体外受精児が占めています(わが国の割合は4%)。社会的支援も手厚くなっています。有給の出産・育児休暇が15週間認められ、不妊治療中の女性にも年間最大80日の有給休暇が認められています。女性1人が一生に産む子どもの数である合計特殊出産率は、経済協力開発機構加盟国の中でトップの座にあります。
日本では実施されない代理出産もイスラエルでは認められています。1996年、婚姻関係の有無を問わずイスラエル国籍を持つ男女のカップルに対し、国内での代理出産が合法化されています。保健省による、昨年まで20年間で824人が代理出産によって生まれています。代理母と交わす契約書を保健省の専門委員会が審査、承認し、代理母が出産した後、両親が裁判所で手続きをすれば実施と認められます。ゲイカップルも代理出産によって子どもを持つことができます。体外受精よりはるかに高額な代理出産は、公的支援はありません。体外受精は国が全額支援していますが、養子縁組は支援の対象外です。イスラエルでは、遺伝的につながりを重視する伝統的な家族観が根強くなっています。

(2018年4月23日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)

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