インフルエンザワクチンの製造期間の短縮

ワクチン製造では、ウイルスを培養して増やし、毒性を取り除きます。1950年代から続く鶏卵を使う手法は、特別な環境で飼育した鶏と受精卵を確保しなければならず、1年以上かかるのが難点でした。ワクチンの製造期間の短縮を目指して、動物細胞が用いられるようになってきています。サルの腎細胞でウイルスを培養する技術やアヒルの細胞、犬の細胞を活用した技術が開発されています。製造期間を3~6カ月にできますが、量産やコスト面の課題が残っています。
田辺三菱製薬は、タバコの葉を使う手法を開発しています。流行するウイルス型と同じ遺伝子をタバコの葉の組織に組み込み、生育後にワクチン成分を抽出しています。米国で2018年度中にも製造販売の承認を申請する見込みで、2019年度の実用化を目指しています。遺伝子組み換え技術に関する基準が整う米国で先行させ、日本でも大阪大学微生物病研究会との共同開発を検討しています。

(2018年11月7日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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