ウイルス感染によるさまざまな症状

ウイルス感染が起こると、風邪の症状である発熱、鼻炎、喉の痛みなどを訴えます。ウイルスはまず鼻や口から体内に入ります。ウイルスは細胞内で増殖し、外に飛び出して、他の細胞にくっついて入り込み増殖します。ウイルス感染した体は、鼻や喉の細胞が壊されてウイルスが増え続けるのをだまって見ているわけではありません。体内には、侵入した病原体をやっつける役割を持つ免疫細胞がパトロールしています。この細胞がウイルスに感染した細胞を見つけると、ウイルスを退治するための反応が始まります。
体はまず体温を上げて、細胞の中でウイルスが増えるスピードを弱めようとします。ウイルスが増えている場所にたくさんの免疫細胞が集まり、ウイルスを捕まえて分解します。ウイルスをがんじがらめにして身動きを取れなくする特殊なたんぱく質を作り、ウイルスが細胞に侵入できないようにします。鼻の粘膜の量を増やしてウイルスを外に押し流そうともします。こうして、発熱や喉の痛み、鼻水といった症状が出ます。風邪の症状は、体がウイルスと闘うことであらわれる自己防衛反応の一種です。自分の体だけではウイルスを打ち負かせない時は、薬を使ってウイルスの増殖を止めることもできます。ワクチンにより、先にウイルスのかたちを免疫細胞に覚え込ませば、ウイルスが侵入した早い段階で上手く退治できます。

(2020年2月22日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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