エイズ発見から40年

後天性免疫不全症候群(エイズ)は、1981年に米国で初めて見つかり、40年が経過しました。適切な治療を受ければ発症することはなく、死の病ではなくなってきました。エイズはヒト免疫不全ウイルス(HIV)に感染して発症します。1990年代中頃に、抗HIV療法が登場してから状況が一変しています。その後、新しい薬が次々に開発されました。現在は1日1錠のむだけでよく、副作用も抑えられた薬が複数出ています。
薬をのみ続ければ、ウイルスの量が減り、血液検査で検出されなくなります。免疫機能が回復するので、エイズを発症することもありません。ウイルスが検出されない状態が半年以上続いていれば、避妊具を使わない性交渉でも人に感染させることもないとされています。しかし、HIVが体内から完全に消えることはなく、薬をやめるとウイルスが増えるので、生涯のみ続けなければなりません。患者は偏見や差別にも依然として苦しんでいます。製薬企業が2020年に実施した調査によれば、8割以上がHIV感染症について、未だ死に至る病と答えています。
サルを使った実験で、ウイルスを体内から完全に排除できるワクチン技術を開発しています。HIVが体内で増えるために必要な遺伝子をゲノム編集で取り除き、免疫反応を強める物質を出す細菌の遺伝子を組み込んだ生ワクチンを作っています。ワクチンに使うウイルスは、弱毒化だけでは生体内で生き続けますが、細菌の遺伝子を組み込んだことで、生体の免疫反応で排除されます。
患者は体から完全にウイルスが消える完治を望んでいます。そのためには、一日も早いワクチン開発が待たれます。

(2021年12月22日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)

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