エネルギー基本計画の見直し

政府のエネルギー基本計画の原案は、再生可能エネルギーの導入拡大に向け、これまでにない高い目標を設定しています。発電をはじめとするエネルギー分野が温室効果ガス排出の8割以上を占めるわが国の現状を踏まえ、エネルギーの脱炭素化に取り組むことは国の責務としています。太陽光や風力などの再生エネを、カーボンニュートラル(脱炭素)時代の主力電源と位置づけています。
日本では、太陽光が平地面積あたりの設備導入容量で世界一となっています。つまり、太陽光パネルなどの設置に適した土地が少なくなっています。太陽光の年間導入量は低下しています。電力を決められた価格で買い取る固定価格買い取り制度で、認定を受けた産業用の太陽光発電の導入量は、2019年度で486.9万kwで、2014年度の857.2万kwから4割も減っています。
再生エネ拡大の切り札として期待がかかる風力も、陸上、洋上ともに、巨大な風車の設置などに適した場所が限られています。火山大国である日本の地の利を生かせる地熱については、国立公園などに適地が集中し、開発のハードルが高くなっています。
基幹電源として引き続き利用する方針を盛り込んだのが原子力です。エネルギーの安定性に寄与する重要な電源であり、必要な規模を持続的に活用する考えを示しています。火力発電は、国際的な批判が高まっており、依存度を引き下げることになります。

 

(2021年7月17日 読売新聞)
(吉村 やすのり)

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