オルソケラトロジーとは

近視は、近くを見るときはピントが合いますが、遠くの物がぼやけて見える状態をさします。これは眼内に入った光が網膜より手前で焦点を結んでしまうためです。オルソケラトロジーとは、近視や乱視の人が就寝中に特殊なハードコンタクトレンズを装用して、視力を矯正することをいいます。オルソケラトロジーは、専用のハードコンタクトレンズを着け、角膜の形を変えてピントが合いやすいようにすることです。オルソは矯正、ケラトは角膜という意味です。
オルス用のレンズは、普通のハードコンタクトレンズより一回り大きく、断面が特殊な形状をしています。装用すると、涙液を介して角膜への圧力分布が変化し、角膜の中央部を押しつけ、周辺部を持ち上げる力が加わります。角膜は全体として平らになり、レンズとしての屈折率が小さくなります。より遠い距離で焦点を結ぶので、眼軸長が伸びてしまった人も、ピントが合いやすくなります。レンズは就寝前に装用し、目覚めるまでの間に矯正するのが、一般的な使い方です。就寝中に連続使用するため、レンズは酸素透過性が非常に高い材料で作られています。
しかし、角膜にレーザーを照射するレーシック手術などと違い、視力を矯正する効果は一時的です。矯正した角膜は、放っておくと2週間ほどで元の形に戻ってしまいます。このため視力を維持するためには、原則として毎日、近視の程度が軽い人でも、1日置きにレンズを装用する必要があります。オルソケラトロジーの本来の目的は、日中に裸眼で過ごせるよう一時的に視力を矯正することです。

(2019年3月13日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

カテゴリー: what's new   パーマリンク

コメントは受け付けていません。