グリーンウォッシュ問題の懸念

グリーンウォッシュとは、エコをイメージさせるグリーンと、誤魔化す・うわべを繕うホワイトウォッシュを組み合わせた造語で、消費者の誤解を招く表現を用いて、この商品やサービスは環境に良いと思わせるビジネス戦略を言います。グリーンウォッシュと同様に、SDGsウォッシュという言葉も使われています。
世界的なウオッシュ(見せかけだけのESG対応)防止の流れを受け、金融庁が監督姿勢を強めたことにより、国内のESG(環境・社会・企業統治)投資信託の新規設定が急減しています。ESG投信の乱立に、かねてから金融庁はウォッシュへの懸念を抱いてきました。2020年末には、国内最大のESG投信を運用する会社に、より丁寧に銘柄選定の基準を説明すべきと疑義を呈した一幕もありました。猫も杓子もESGを唱えれば良いとする局面に終止符が打たれました。今年に入りESG銘柄の株価が振るわない一因にもなっています。投資家、企業はともに、ESGの育ての苦しみを味わっています。
2022年に新たに設定されたESG投信は、7月までで28件にとどまっています。2021年通年では過去最高の93件が設定されましたが、3年ぶりの減少になりそうです。ESGスコアの高い銘柄を見ても不調が目立っています。過度な規制は、市場を萎縮させかねないとの指摘もあります。ESGを深化できるか、運用会社の知恵と努力が試されています。

 

(2022年8月4日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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