コロナとCOPD

慢性閉塞性肺疾患(COPD)は、たばこなどの有害物質に長時間曝露されることにより、肺が持続的な炎症を起こし、呼吸機能が低下した状態です。原因はほとんどが喫煙であり、生活習慣病と考えられています。わが国における患者は、500万人以上にものぼると推計されています。
COPDの患者さんは、新型コロナウイルス感染症の重症化リスクが2~3倍は高くなることがわかっています。ウイルスが細胞の中に入る時には受容体を必要としますが、COPDを発症したり、その程度が強くなったりすると、受容体が増えてウイルスが入りやすくなることが理由です。肺には予備能力があるのですが、COPDで壊された肺の残りの部分に、ウイルスがついて肺炎を起こせば、十分に呼吸ができなくなります。当然死亡率は高まります。
検査としては、胸部X線、被曝を少なくした低線量CT、呼吸機能検査があります。呼吸機能検査では、ゆっくり大きく吸ったり吐いたりする肺活量と、胸いっぱい吸ったところからできるだけの努力をして最初の1秒間でどれだけ吐けるかという1秒量の二つを指標にします。検査の目安となるのは、1秒で肺活量の70%を出すことができるかどうかです。70%を切ると気道が狭くなっている状態と考え、COPDと診断されます。
CODPは喫煙がほとんどの原因であるため、まずは禁煙が大切です。CODPだけではなく、1年間禁煙するとコロナウイルスの受容体が減るというデータもあり、禁煙が重要です。家族が喫煙していなくても、受動喫煙で発症することもあります。
近年、気管支を拡張させる薬、気管支の収縮を抑制する薬など吸入薬が充実してきています。治療はこれらを使う薬物療法、食事療法、歩行がメインです。呼吸リハビリテーションも含め、症状をコントロールするための様々な方法があります。CODPの患者さんは、酸素をうまく取り込めないので、食べた物をエネルギーに変える熱効率が悪い状態になります。そのため、たんぱく質や脂質の取り方などの栄養指導も必要です。満腹状態では横隔膜をしっかり使った呼吸ができないので、1日3食にこだわらず、4食や5食などに分けて食べることも必要となります。歩行により一定の負荷をかけてずっと体を動かしている人の方が、息切れを感じることが少なくなります。
早期発見のヒントとして、風邪が長引くというのも一つのポイントです。自覚しにくい病気なので、家族や周囲の人が気にかけることが大切となります。

(2020年9月30日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)

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