コロナ後遺症の実態

新型コロナウイルスに感染して治った後も、息苦しさや倦怠感、筋力の低下などの後遺症に苦しむ人がいます。症状が重くなるほど、肺の機能が回復していない傾向がみられています。肺から血中に酸素を取り込む肺拡散能の低下は、人工呼吸器を使うような重症だった人では52%に上っています。自覚症状を調べると、重症だった人では77%が筋力低下を感じ、50%が息苦しさ、34%が咳が続いています。重症、中等症だった人の2~3割に倦怠感がみられましたが、入院中には5~7割だったことに比べれば、改善の兆しがみられます。
CTでは、3カ月後も54%で、すりガラス状の影などの変化がみられています。通常の細菌性肺炎では、こうした影は3カ月後にはほとんど見えなくなります。肺炎の影響が長引くのは新型コロナの特徴です。

診断から6カ月後の調査では、21%で疲労感・倦怠感、13%で息苦しさ、11%で睡眠障害、10%で脱毛、9%で筋力低下が認められています。しかし、約8割の人は、長引く症状の有無に関わらず、発症前の健康状態に戻ったと自覚しています。
味覚・嗅覚の自覚症状については、37%が味覚と嗅覚に障害があると答え、20%は嗅覚のみ、4%は味覚のみに障害があると回答しています。嗅覚、味覚障害ともに女性の頻度が高率です。退院から1カ月後の嗅覚障害の改善率は60%、味覚障害では84%です。症状は感染症の治癒に伴っておおよその人で早急に消失します。基本的にはあまり心配しなくて良いと思われます。

(2021年7月18日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)

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