コロナ患者の受け入れ

日本は感染が再び急拡大しているとはいえ、患者数は先進国でもまだ少なく、人口比の病床数も多い状況にあります。しかしながら、コロナ禍で非効率な医療体制を背景に医療が逼迫しています。大病院の受け入れを増やし、中小病院が回復患者や他の病気に対応する役割分担を強める対策が必要です。
日本医師会などの6団体は、大病院のコロナ病床を増やし、他の一般医療を中小病院で代替するといった連携を模索しています。専門病院を定め効率よく役割を分担することで、コロナ以外の診療との両立を目指していますが、現状はチグハグです。去年夏より準備期間が3ケ月以上もあったのに、未だ病院間の連携体制が取られてないのは問題です。政府のみならず、地方自治体、日本医師会の対応の遅れに起因しています。
首都圏1都3県で、大学病院の中・軽症者向けの病棟で半数近くの病床を、酸素投与が不要か無症状の患者が使っています。転院先となる後方支援施設が整っているのは、大学病院の4分の1にとどまっていいます。また役割分担が曖昧で、医療資源が分散しています。集中治療の専門医がいる都内の医療機関の4割は1人体制です。集中治療室(ICU)も小規模で、現場に負荷がかかりやすい状況です。
東京都は、都立・公社のコロナ対応病床を広尾、荏原、豊島の3病院を中核に従来の計1,100床から1,700床に増やす計画です。しかし、行政が旗を振っても、医療体制の再構築がすんなり進むとは限りません。いずれにしても、公的病院のコロナ患者受け入れには限界があります。民間病院での中・軽症者の受け入れ体制だけでも早急に構築すべきです。

 

(2021年1月21日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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