コロナ感染再拡大によるGDPの下振れ

新型コロナウイルスの感染再拡大を受け、世界経済にブレーキがかかっています。民間エコノミストの予測によれば、日米欧の10~12月期の実質成長率は、従来予測よりも下振れするとされています。特に感染拡大が深刻な欧州はマイナス成長に陥る見通しです。一方、感染対策と経済活動の両立に成功した中国は、成長ペースを維持しています。
欧州の10~12月期は、従来、前期比年率でプラス10.4%の高成長の見込みでしたが、最新の予測では10%のマイナスに転じる見通しです。観光などが主産業のフランス、イタリアで、厳しい行動制限が敷かれたことが響いています。欧州全体の1~3月期の予測は、9月時点のプラス5.7%からすでに4.5%に下がっていますが、さらに下振れする可能性もあります。
米国も感染再拡大の影響が鮮明で、特に消費への影響が深刻です。日本はコロナ感染者数や死亡者数が欧米より少ないのですが、経済活動を制限する影響は大きく、10~12月期の成長率は従来予想の4.8%から3.9%に下がります。
日米欧と対照的に堅調なのは、コロナの蔓延を早期に封じ込めたとされる中国です。10~12月期の前年同期比の成長率を5~6%台と予測し、7~9月期の4.9%より拡大するとの見方が多くなっています。けん引するのは輸出の伸びです。海外ではサプライチェーンが復旧しきれないままで、年末商戦で中国の輸出品に需要が生じています。

 

(2020年12月17日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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