コロナ抗体検査の誤解

新型コロナウイルスの抗体検査で陰性となったことを、現在感染していないことを示すと間違って解釈している人がいます。抗体検査で分かるのは過去に感染していたかどうかで、現在の感染の有無を知るためのPCR検査などとは用途が異なっています。抗体検査では、現在感染しているかどうかを判断できません。
抗体とは体内に侵入した病原体を捉えるために働く物質です。感染してから体内で作られ、発症して2週間ほど経つと量が増えます。その後一定期間は増えたままなので、検査で陽性と判定されれば、これまでに感染したことがあると分かります。発症から1週間程度では量が増えていないため、陽性にはなりにくいとされています。今回の新型コロナでは、感染者であっても抗体が陽性にならないケースが多くみられます。
現在感染しているかどうかが判断できるのは、PCR検査や抗原検査です。PCR検査は比較的精度が高く、抗原検査は簡便なことが利点です。PCR検査では感染者の約3割が陰性と判定されます。PCR検査で陰性になっても、感染していると思って行動することが必要になります。

(2020年8月3日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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