コロナ病床とは

日本は一般病床と感染症病床が計88万9,000床あり、世界的にみても多いにもかかわらず、コロナ禍では病床不足が常に問題になっています。昨冬の感染者の2倍想定で病床上積みを都道府県に求めた結果、確保病床は全国で年初の約2万8,000床から約3万7,000床に増えています。都では、4,000床から1.5倍になっています。しかし、病状が悪化しても入院できない患者が相次いでいる状況です。各地で病床使用率が6~7割の段階で逼迫が始まっています。自治体と病院が協議して確保病床数を決めたのにもかかわらず、受け入れられない病院が出てきています。
厚生労働省は、2020年末以降新規に病床を確保すると1床につき最大1,950万円を支給する制度を設けています。空けておく病床に1日最大約43万円を補償する事業などに1兆円以上投じています。いわゆるコロナ病床です。この新型コロナウイルス感染症の患者を入院させる病床は、都道府県が主体となって地域の医療機関と調整のうえ、計画を立てて準備しています。あらかじめ空床にして即座に患者を受け入れるようにすることもあれば、感染が拡大した段階で入院中の患者を転院させて用意することもあります。
厚生労働省は、感染急拡大を受けて、入院対象を重症者や中等症で重症化リスクのある人に重点化する方針も示しています。感染力の強いデルタ型の影響で、事前の想定を超える感染者が発生し、病床が逼迫しています。確保病床が人員不足で運用できない事例も出てきています。もともとはコロナ以外の一般医療とコロナ医療を両立できる体制を想定していましたが、一般医療を制限せざるを得ない状況になりつつあります。
国からの補助金を受け取りながら受け入れに消極的な病院が多く見られます。公費を投じて病床を整備したのは、コロナ禍でも命を守り、社会経済活動を続けられるようにするためです。その病床がフル稼働できず、自粛や営業制限が続くのでは、社会の理解は得られません。

 

(2021年8月20日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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