コロナ禍での平均給与の実態

国税庁の民間給与実態統計調査によれば、昨年の1人あたり年間平均給与は433万円(男性532万円、女性293万円)です。前年と比べて0.8%減で、2年続けて落ち込んでいます。給与総額の内訳の賞与が65万円と前年比8.1%も減り、リーマン・ショック後の2009年の13.2%減以来の急落となっています。
給与が上がった業種と下がった業種をみると、宿泊・飲食サービスが前年比3.2%減の251万円と、ほかの業種より大きく下落しています。医療・福祉や卸売り・小売りなど働き手の多いほかの業種も軒並み減っています。一方で、情報通信や金融・保険など前年より伸びた業種もあります。コロナ禍による経済や雇用への影響は二極化しています。人手の不足や過剰も業種によって分かれ、景気が悪いのに人手不足といった状況が起きています。

リーマン危機の打撃は2009年に広がり、給与額は2009年6月に前年比7.2%減まで落ちました。コロナ禍では、2020年12月に前年比3.0%減で、下落率は小さく抑えられています。コロナ禍では、残業代が大きな下落要因となっています。緊急事態宣言で経済が麻痺して、労働時間も急減したためで、残業代の下落はリーマンの際より大きくなっています。
リーマン時は製造業の打撃が大きく、正規・非正規ともに男性の雇用減が目立ちました。コロナ禍では、宿泊・飲食や卸売り・小売りで、女性の非正規雇用が大幅に減少しました。一方で、医療・福祉などで女性の正規雇用が増えています。

(2021年12月5日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)

カテゴリー: what's new   パーマリンク

コメントは受け付けていません。