コロナ禍での換気の必要性

ウイルスの感染経路には、咳や会話で飛び散る唾液などのしぶきによる飛沫感染、しぶきの水分が蒸発して小さくなり、空気中をふわふわと漂う飛沫核による空気感染などがあります。感染経路の定義とは別に、空気中の微粒子に含まれるウイルスを吸い込んで感染することを、エアロゾル感染と呼ぶことがあります。この小さな微粒子は軽く、すぐには落下しません。
米国の研究チームは、会話によって生じる微粒子が、密閉された場所では、10分近くにわたって空気中を舞う可能性があることをつきとめています。1分間の大声の会話で、少なくとも1千個のウイルスを含む微粒子が8分間以上舞うと推定しています。密閉空間では、通常の会話が感染の原因になるとしています。
中国の研究チームの発表によれば、ウイルスの遺伝子が比較的多かったのが、病院の臨時トイレです。広さは1㎡ほどで換気設備がなく、密閉された空間です。感染者の息や排せつ物に含まれるウイルスが、空気中を漂うことを示すデータです。
空気中を漂う微粒子であるエアロゾルが問題であることを考慮すると、換気が重要となってきます。常時、離れた複数の窓を開けておくことが一番良いとされています。窓は全開する必要はなく、4分の1程度など少しでも良いのですが、室内の空気が入れ替わるようにすることが大切です。離れた窓を2カ所以上開けて、空気の入り口と出口を作ると良いとされています。現在、地下鉄や電車においても窓が開けられていますが、夏場に向けて対策が必要となります。

 

(2020年6月4日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)

カテゴリー: what's new   パーマリンク

コメントは受け付けていません。