コロナ禍での1人10万円の現金給付の使途

国民全員に一律10万円を配る特別定額給付金は、昨年4月30日に成立した2020年度第1次補正予算に12.8兆円が盛り込まれ、夏頃にかけて給付されました。マネーフォワードや早稲田大学らの研究チームは、1人10万円の現金給付が消費行動をどう変えたのか、出費を自動で記帳する家計簿アプリを使って分析しています。高中所得層では大半が貯蓄に回ったとみられる一方、低所得層では他の所得層より消費への波及効果が1.5倍大きいことが分かりました。同額の予算なら、対象を絞った給付のほうがより効果的であることが実証されました。
消費増は給付日から数週間、確認できました。ネット決済の履歴などから、明確に消費に回ったと判明した分は、1人あたり6,000円相当でした。ATMで引き出した分も消費に回ったとして合算すると1万6,000円相当、親族などへの送金なども含めた全体の取引は2万7,000円相当でした。給付を受けた週が最も支出が多いのですが、家財などの耐久消費財や住宅ローン・保険料支払いなどは、1カ月以上も影響が続けています。
所得別に4つに分けると、年収236万円以下の低所得層だけ消費の増え幅が特に大きく、ほかの層と比べて1.5倍でした。それ以上の所得がある層はほとんど貯蓄に回したとみられます。所得だけでなく、預金などすぐに使える資産が乏しい人も消費増が目立っています。
同額の予算なら、低所得の人に給付したほうが効果は大きいと言えます。米国は、納税証明書に基づいて年収制限を設け、低所得層に集中して現金給付を3回実施しています。しかし、日本は、個人情報の保護の観点から納税情報を現金給付に活用することが難しくなっています。

(2021年4月15日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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