コロナ禍におけるアルコール性肝疾患による死亡の増加

長期間の多量飲酒が原因で亡くなる人が増え続けています。新型コロナウイルス下のストレスなどで、酒量が増した人もおり、アルコール性肝疾患による死者は2021年に6千人を超えました。コロナ前より約1割多く、25年前に比べれば2.5倍の水準となっています。アルコール性肝疾患の推定患者数は、2020年に5万人を上回りました。
若者の酒離れなどで、国内の酒類消費量は減少傾向にありますが、過度な飲酒をする人が増えています。一人暮らしで孤独を感じる高齢者らが増え、飲酒量を抑えられない人が多くなっています。コロナ下でストレスが増し、在宅の時間が伸びる中で飲み続ける人も増えています。
厚生労働省によれば、潜在的なアルコール依存症は約57万人に上るとされています。65歳以上の高齢者は、若者に比べてアルコールの分解速度が遅く、血液中のアルコール濃度が高くなりやすくなります。アルコール代謝の過程で発生する有害物質であるアセトアルデヒドを分解する酵素の働きが弱い人は、日本人の40%を占め、酵素が無い人も4%います。健康な男性の場合は、1日あたりアルコール度数5度のビール1ℓ、あるいは15度の日本酒2合を飲み続けると、生活習慣病のリスクが高まるとされています。女性や高齢者、顔が赤くなりやすい人はその半量が目安です。

(2023年2月22日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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