コロナ禍における地方のデジタル化

新型コロナウイルス禍をきっかけに、地方企業がデジタルトランスフォーメーション(DX)を迫られています。感染拡大への対策で人の往来が限られる中、従来の営業手法などでは限界があるといった危機感が高まっています。地方はIT人材の不足が課題となっており、オンラインで都市部に業務を発注する動きが活発になり始めています。
日本経済新聞社らの調査によれば、新たにサービスの利用を始める事業者は地方に多いことがわかりました。サービスの新規登録数の発注側の上位には、鳥取県や高知県、島根県などがならび、9位まで全てが地方でした。地方からの業務の受注件数では、首都、近畿、中京の3大都市圏が2年間で2倍近くに増えています。3大都市圏の中での受発注も1.4倍になりましたが、地方から都市への発注の伸びが上回っています。都道府県別では、東京都や神奈川県、大阪府などIT人材が地方よりも豊富な都市部が受け皿になっています。
地方のDXの遅れは鮮明になってきています。ITインフラやネットサービスの利用状況などから、都道府県別のデジタル化の水準を0~100で指数化したところ、首都圏の65や近畿圏の57に対し、地方は51と低率です。住民のデジタルスキルの差が大きくなっています。しかし、今後はコロナ下でのリモート対応の広がりを機に、IT人材が都市部に偏在するという地理的な制約は小さくなっていく可能性があります。

(2021年8月29日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

カテゴリー: what's new   パーマリンク

コメントは受け付けていません。