サバイバー生存率とは

 一般的によく聞くがんの生存率は、相対生存率と呼ばれます。ある種類のがんと診断された人が、年齢や性別が同じ日本人全体と比べて、診断から一定期間後にどれほど生存しているかをその割合で示したものです。これに対し、サバイバー生存率は、診断から一定期間が過ぎた時点を出発点にしてそれから先の生存率を示します。
 男性の胃がんの1年相対生存率は79%、5年だと63%です。治療の難しさなどによって差はありますが、基本的に値は日数が経つにつれて下がっていきます。一方、胃がんのサバイバー5年相対生存率は、診断後に80%、5年後には97%になります。100%は普通の日本人と死亡率が同じことを意味し、がんが治ったと同義です。サバイバー生存率は、診断からの日数が重なるほど値が上昇する傾向にあります。診断時点の生存率には、早い段階で亡くなっていく人のデータも含まれています。時間が経つほど、長期生存する人の割合が高まっていくため、サバイバー生存率は上昇してゆきます。
 サバイバー生存率もがんによって差があります。甲状腺がんのように死亡につながることの少ないがんでは、値は診断時から100%に近く、年数が経ってもほとんど上昇しません。一方、治療が難しいことの多い膵臓がんでは、診断時の5年後の値は6%前後ですが、1年後には21%、3年後には65%と大きく上がっていきます。同じがんでも、進行度によって差があります。一般的に、進行したがんでは早期がんに比べて診断時の値は低いのですが、年数が経つにつれて値が上昇し、その度合いは早期がんより大きくなります。

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(2018年5月27日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)

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