シニア世代の就業

人生100年時代を視野に、政府は70歳まで働ける環境づくりに向けた検討を始めています。シニア世代の就労が増えています。健康年齢が延び、元気な人が増えたことも背景にあります。また、改正高年齢者雇用安定法で、希望すれば65歳になるまで働ける制度の導入が、企業に義務付けられたことも要因となっています。
しかし、60歳代前半は、企業の約8割が定年の見直しではなく、いったん定年退職した人を非常勤などで継続雇用しています。賃金が大幅に下がり、補助的な役割に追いやられる例が多くなっています。本人が意欲を失う場合もありますが、企業は義務的に福祉的な雇用として、戦力外でもとりあえず雇っているところがあります。
今こそ日本型の雇用慣行を変える必要があります。賃金が50歳代に向けて年齢とともに高くなる年功賃金を見直し、60歳以降の賃金に回す原資を捻出すべきです。中高年の雇用をもっと流動化することも欠かせません。終身雇用を見直し、中高年が転職しやすい社会に変えていけば、60歳以上の人も能力に応じた賃金で仕事に就きやすくなります。

(2018年12月8日 読売新聞)
(吉村 やすのり)

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