シングル女性の経済状況

総務省の労働力調査によれば、2022年の非正規雇用労働者は、男性が669万人、女性は1,432万人です。女性は45~54歳の層が373万人と最も多くなっています。女性の生涯未婚率は、2000年代に入って急激に高まり、2020年で17.8%に達しています。生きていくスタイルが多様化しているにもかかわらず、雇用や税制、社会保障制度は、旧来の家族観を基準にし、女性は必ずしも経済的に自立していなくても良い、結婚すれば解決するとみなされがちです。
中高年シングル女性の調査・政策提言に取り組む、わくわくシニアシングルズによれば、40歳以上の単身女性の就労率は84.6%と高いのですが、正規職員は44.8%と半分以下です。非正規職員が38.7%、自営業・フリーランスが14.1%を占めています。年収200万円未満は全体の33.3%、非正規職員では52.7%、フリーランスでは48.6%です。低収入ですが、主たる生計維持者は86.1%で、暮らしぶりがやや苦しい、大変苦しいを合わせると68.9%に達しています。
人手不足の労働市場を長年支えてきた女性を低待遇のままにしておくことは、社会保障の担い手や労働力としての可能性を十分に生かせていないことにもなります。1日8時間働いても、最低限の暮らししかできない低賃金は問題です。最低賃金を上げたり、求人の年齢差別をなくしたり、職業訓練や企業とのマッチング、家賃補助、公営住宅への入居などの具体的な支援が必要です。

(2023年3月8日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)

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