テレワークにおける労働生産性

コロナ禍でテレワークが増えてきています。しかし、テレワークにより労働時間が長くなり、メンタルヘルスの悪化を訴えるものも増えてきています。功罪を踏まえ、テレワークの質を高めるルールづくりが求められています。
欧州では、テレワークに関する法制度の整備が進んでいます。ドイツでは、従業員が在宅勤務を希望した場合、使用者側に労使協議に応じることを求めることができます。アイルランドでは、テレワークの企業向け行動規範を策定し、就業時間外は業務連絡を受けないなど、つながらない権利の尊重などが盛り込まれています。フィンランドやオランダでは、女性の労働参加などを後押しするため、以前から自宅を含む希望の場所で働く労働法上の権利を認めています。
テレワークを進める場合、労働生産性も問題となります。米アドビが7カ国で実施した調査によれば、日本のオフィス勤務より仕事がはかどる人の割合は、43%と最低でした。日本は、職務内容が不明確なメンバーシップ型雇用が主流のため、出社して上司とコミュニケーションをとることが仕事の効率を左右する面があります。対面で取り組む方が適した仕事があるのも事実のため、出社とテレワークのバランスが重要になってきます。生産性と、感染予防という安全性を両立するために、望ましい組み合わせを議論し、ルールをつくることが求められています。

(2021年10月7日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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