ネットいじめ

 いじめの現代的な特質の1つに、周囲からの見えにくさが指摘されています。その典型がネット環境の中に展開されるネットいじめです。仏教大学の原清治教授らの研究グループの調査によれば、高校生の約9%がネットいじめを経験していることが判明しました。いじめは学力低位の高校だけではなく、高位の学校群でも起こっていますが、その特徴は異なっています。
 発生率が最も高いのは偏差値が最も低い学校群①ですが、必ずしも偏差値に沿って右肩下がりにはなっていません。偏差値66以上の学力高位群②でもネットいじめは発生しやすく、偏差値51~55の学力中位群③の発生率も高くなっています。①の低位群は直接型が他より多くなっています。高位群②では笑いを伴う間接型が起こりやすくなっています。③の中位群は学力の分散が最も大きく、多様な価値観の葛藤があると考えられます。自分と考え方や価値観が異なる異質な他者が混在しやすい空間には、ネットいじめが発生しやすいといわれています。

(2017年3月20日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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