バクテリオファージによる薬剤性耐性菌感染症の治療

薬剤耐性菌は、医療や畜産の現場で、抗生物質の乱用によって薬が効かなくなった細菌のことをいいます。新型コロナウイルスと並び、感染症の新たな脅威として早急な対策が求められています。これら感染症に対し、細菌に感染するウイルスを使った新しい治療が注目されています。
治療に使うのは、バクテリオファージというウイルスでファージとも呼ばれます。細菌に感染すると自身のDNAを注入して複製し、細菌を内部から壊してしまいます。人間や動物の細胞には感染せず、これを使った治療はファージ療法と言われています。従来の抗生物質に比べて高い安全性が期待できます。多剤耐性菌や超多剤耐性菌にも有効な治療手段となりうるとされています。自然界に住むファージを改良して、様々な医薬品を作れることができます。特定の細菌だけに感染するため、抗生物質のように有用な腸内細菌を殺さずに済みます。

新型コロナウイルスの感染症が広がる中、人間に感染しない安全なウイルスで病原菌を制する治療として期待されています。課題は、ファージを血流に乗せて体の内部に届けることが困難であることです。患部へ効率的に運ぶ技術開発も必要となります。

(2020年8月24日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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