パワハラに関する法改正

2020年に施行された改正労働施策総合推進法で、企業の責務が明確にされて以降、企業もパワハラについて相談しやすい雰囲気づくりを進めてきています。経団連が昨年行った調査によれば、会員400社のうち44.0%で、5年前と比べて相談件数が増えたと回答しています。
これまでは、大企業で相談窓口の設置や研修などの防止措置が義務付けられてきましたが、今年4月からは中小企業にも義務付けられました。大企業と同様、パワハラへの適切な対策や対応がない場合、国から勧告や指導を受けることがあります。
法律では①優越的な関係を背景とした言動、②業務上必要かつ相当な範囲を超えたもの、③労働者の就業環境が害されるものの3要素をすべて満たした行為をパワハラとしています。改正法の指針では、6類型を例示しています。殴る・蹴るなどの身体的な攻撃、同僚の面前で罵倒するなどの精神的な攻撃といったことが該当します。性的な言動で不愉快にさせるセクシュアル・ハラスメントや、妊娠、出産、子育てなどをきっかけに不利益な扱いをするマタニティー・ハラスメントについても同様です。
されたこと、言われたことを、日時が分かるように録音・メモして、同僚や上司、社内のパワハラ相談窓口に事情を話すことが必要になります。相談や告発をしたことを理由に、解雇や不当な降格、居心地が悪く感じる言動を取るなど、不利益な扱いをすることは違法行為となります。

(2022年5月23日 読売新聞)
(吉村 やすのり)

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