パワハラ対策

職場でのパワーハラスメントの相談件数が増加の一途をたどっています。全国の労働局に寄せられた労働相談の内訳をみると、パワハラの可能性がある、いじめ・嫌がらせは6年連続でトップで、2017年度は7万2,000件余りに上っています。いじめや嫌がらせなどで精神疾患を発症し、労災認定された件数も88件で過去最多となっています。厚生労働省が2016年に実施した調査では、企業で働く3人に1人が過去3年間にパワハラを受けたことがあると回答しています。



パワハラを巡っては2012年、厚生労働省の有識者会議が、「パワハラは、職場内の優位性を背景に業務の適正な範囲を超えて精神的・身体的苦痛を与えたり、職場環境を悪化させたりする行為」と定義されています。同じハラスメントでも、セクハラは男女雇用機会均等法で、マタニティー・ハラスメント(マタハラ)は育児・介護休業法などで、それぞれ企業側に防止義務が定められています。これに対し、パワハラ対策を義務付ける法律はなく、対策が遅れています。

セクハラやマタハラに比べると、パワハラは指導など業務に直接的に関連しているため、企業にとっては対応が難しい面があります。労働者も会社の窓口にも相談しても対応をしてもらえないとためらうケースも多くなっています。そのため厚生労働省は、今秋から、専門家による会議を設置し、企業にパワハラ対策を義務付けるかどうかなどについて本格的に検討を始めます。

(2018年8月17日 読売新聞)
(吉村 やすのり)

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