ビールはなぜたくさん飲めるか

 人間が一気に飲める水の量は、11.5ℓ程度です。個人差はありますが、ビールは水より多く飲めます。近年のドイツの研究によれば、胃から分泌されるホルモンであるガストリンの分泌が促進されます。ガストリンは、胃の出口付近にある細胞から出され、胃酸の分泌を促します。さらに出口近くの運動を促進させる働きもあります。
 アルコールの大半は小腸で吸収されます。急激に血中アルコール濃度を上げないためには、胃でのアルコールの滞留時間を長くするのが必要となります。悪酔いを防ぐには、空腹での飲酒を避けるべきです。まず何かつまみを食べることで、アルコールを食品と一緒になるべく胃に長く留めるようになります。アルコールが小腸に送り込まれるスピードが速いと吸収が早くなり、酔いが回りやすくなります。油は胃に長く滞留する時間が長くなり、ビールを小腸へ送る時間を遅らせることができます。イカやタコには肝臓でアルコールの代謝を助けるタウリンが多く、納豆もたんぱく質が豊富です。
 暑い時は汗で水分を失って喉が渇き、お酒も進みやすくなります。ビールの大部分は水分ですが、アルコールは利尿作用があり、飲み過ぎは脱水を招きます。飲酒の合間に水を飲み体内に水分の補給をすることが大切です。水を時々飲むことで、胃腸内のアルコール濃度を薄める効果もあります。

(2017年8月25日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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