ヘルスリテラシー

 ヘルスリテラシーとは、健康情報を集め、それを自らが理解し、評価し、活用するための知識や能力をいいます。それによって、自らのヘルスケアや疾病の予防に務め、生涯を通じての生活のクオリティーの向上を図るための健康力を持つための能力ともいえます。聖路加国際大学の中山和弘教授らの調査によれば、わが国のヘルスケアリテラシーは低いと言えざるを得ません。喫煙は、死因1位であるがんに関する予防可能な最大の原因ですが、世界の国並みに飲食店で受動喫煙しなくて済む状況にありません。それを変えるために意思決定して行動できる力、ヘルスリテラシーが求められます。選択の自由が無い状況が、健康と幸福感に影響を大いに与えています。
 世界の幸福感の調査によれば、人生の選択の自由度が高い国ほど幸福感が高い傾向にあることがわかっています。日本の幸福感は先進国では低めで、人生の選択の自由度は最低ランクです。保健福祉の例をあげれば、少子化に関連して、非正規雇用で結婚できるか、結婚して姓を選べるか、結婚しなくても子どもを産めるか、仕事と子育てを両立できるかなどがありますが、わが国においてはこうした選択に自由度はありません。選択の自由は幸福感につながり、それは健康力の醸成に役立ちます。ヘルスリテラシーは、多様性の認識からはじまると言っても過言ではありません。

(2017年7月2日 毎日新聞)
(吉村 やすのり)

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