ホウ素中性子捕捉療法(BNCT)とは

BNCTとは、がん細胞の中で核反応を起こして、がん細胞を壊す新しい治療法です。増殖の激しいがん細胞に集まるよう、アミノ酸につけたホウ素の薬剤を患者に点滴します。がん細胞に取り込まれたところで、外から弱い中性子を当てると、ホウ素が細胞の中で核反応を起こし、発生する放射線(粒子線)が、がん細胞のDNAを壊します。放射線は、細胞一つ分の距離しか飛ばないため、ホウ素が取り込まれたがん細胞をピンポイントで壊すことができます。
手術や従来の放射線治療が難しかった頭頸部のがん患者の選択肢が増えると期待されています。対象は手術で取ることができず、転移していない耳下腺がんなどの頭頸部がんです。治療できるのは、皮膚から深さ6㎝以内のがんです。照射は1回で済みます。再発するなど治療の難しい頭頸部のがんの21人による治験では、治療90日後にがんが消えたり小さくなっていたりする奏効率は71%と報告されています。副作用は、照射した場所の脱毛や粘膜炎などがみられます。京都大学や南東北病院など全国9施設で実施されています。

(2020年2月20日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)

 

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