ポストコロナ禍の大学運営―Ⅱ

地方大学の定員充足率
地方大学の意義は、1県に1つ国立大学があることで教育機会が均等になり、若者が地域に残るとされています。しかし、その県の高校生が自県の大学に進学する割合である自県進学率をみると、国公私立大学を合わせても和歌山で約11%、鳥取で約13%など、地方の学生の多くが、近隣の都市部へと流出しています。

20年後には、日本の18歳人口は88万人にまで減少します。文部科学省が2018年に推計した2040年度の入学定員充足率は、特に地方部で大きく低下すると試算されています。国公私立大学の入学者の割合は、青森、岩手、秋田の東北3県をはじめ、新潟、徳島では70%を切っています。すでに多くの学生が都市圏へ動いている以上、県境を超えた再編統合をしていかなければ地域人材の育成という大義も揺らいでしまいます。
18歳人口減少下における大学の存在意義の見直しが急務です。このままの形で大学を残すのではなく、国公立大学の県の枠組みを越えた再編統合や定員の減枠、定員割れの続く赤字の私立大学の市場撤退の促進など、質を高めながら量的規模を縮小し、浮いたコストを少しでも教育の質の向上に付与する必要があります。

(Wedge August 2020)
(吉村 やすのり)

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