ポストコロナ禍の大学運営―Ⅴ

私大の経営難
現在、国内にある786の大学のうち、約77%を私立大学が占めています。その基本的な収入源は、学生からの授業料などの納付金がメインで、私大全体の収入では約7割を占めています。教育研究の維持向上や学生の経済負担軽減のため、国から補助金も出ています。しかし、約600ある私立大学の3割が定員割れしており、赤字経営も約4割に上っています。
経営難の大学は、学生確保のために受験機会の拡大など様々な手法で学生を受け入れています。この動きが過度になれば、教育の質が低下する懸念が高まります。大学の破綻は、学生だけでなく、地域社会にも大きな影響を及ぼします。文部科学省は、経営困難な大学に対する指導も強化しつつあります。3年間を目途とする集中的指導期間のうちに、改善が見られず、支払い不能や債務超過に陥るなどのリスクがあることが確認された場合は、募集停止、法人解散などの対策を促すよう通知しています。
国は、少子高齢化を前提として、限られた財源ポートフォリオを見直すとともに、自治体、大学、地域社会などを巻き込んで、大学の適正規模と教育の質を両立させる政策を提示すべきです。

(Wedge August 2020)
(吉村 やすのり)

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