マウスiPS細胞より精子作製

 京都大学のグループは、生殖機能に関わる染色体の病気で精子ができないマウスからiPS細胞を作り、精子に変化させて健康な子どもを誕生させることに成功しました。性染色体にはXY2種類があり、両親から1本ずつ受け継ぎます。X2本なら雌(XX型)、XY1本ずつなら雄(XY型)になりますが、XXY型など1本多い異常もあります。この場合、ヒトではクライフェルター症候群と呼ばれ、無精子症の原因になります。
 研究では、まずX1本多い雄の不妊マウス(XXY型)のしっぽからiPS細胞を作製しています。培養の過程で、細胞の約1割でXが減り、正常な染色体数のiPS細胞ができることを発見しています。同様に、Y1本多いXYY型からも正常なiPS細胞ができることを確認しています。これらのiPS細胞をもとに、正常な精子を作ることにも成功しました。卵子との間で受精させると健康な赤ちゃんが誕生しました。さらに男性不妊症の約3%を占めるとされるXXY型のクライフェルター症候群の患者の細胞からも、正常なiPS細胞を作ることができました。

(2017年8月17日 Science)

(2017年8月18日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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